2005年秋の特集 - 乾燥パスタ-

麺類としてのパスタ

パスタ特集イタリア料理にはかかせないPasta(パスタ)。

イタリアでパスタと言うと、小麦粉を練ったもの、もしくはそれから作られた食品全般(ちょっとつまめるお菓子の事も)を言いますが、今回は麺類(スパゲティーなど)のパスタのお話です。

皆さんはパスタという言葉から何を想像しますか?

日本でもお馴染みのSpaghetti(スパゲッティ)、Penne(ペンネ)、Lasagna(ラザーニャ)、Ravioli(ラヴィオリ)などでしょうか?
パスタとはこれらの総称で、バラエティーに富んだ形とソースの味で数百種類のレシピにもなる偉大なる食品。

今回はパスタの中でも保存が出来るPasta Secca(乾燥パスタ)またはAsciutta(アシュッタ)について取り上げました。

気軽で簡単なパスタ料理ですが、長い歴史と奥深さがあるこの一品の素晴らしさを是非再確認して下さい。


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詳しくは下のリンクより。

LinkIconフィレンツェ同行通訳・コーディネート

パスタの歴史パスタの歴史

イタリアの中では、歴史的建造物の少ないミラノ。
それには、世界大戦での空爆という、どの大都市にも共通する背景がありました。

パスタ・アンティーク伸ばし器パスタの起源らしき食べ物に関しては、製造道具や調理道具と思われる物が墓から出土された紀元前9世紀頃のエトルリア人(紀元前9世紀~紀元前1世紀のイタリア半島中部の民族)までさかのぼります。

紀元後すぐには、Apicio(アピチオ)というコックが文献の中で「Lasagne」(ラザーニェ)に似た言葉を使っており、1000年頃にはトリエステ近郊のアクイエイアの有力者に仕えていたコックMille Martino Corno(ミッレ・マルティーノ・コルノ)がパスタ料理の基本となるレシピを書いています。

パスタらしき食べ物はアラブ世界、ギリシア、シチリアでも広まっており、1150年アラブの地理学者Al-Idrisi(アル・イドゥリーシ)は「トラヴィア(パレルモから約30キロ離れた町)では、糸状の練りものを生産し、多くの場所、カラブリア、イスラム教徒やキリスト教徒の国々へ輸出されている。」と伝えています。

1244年と1316年の文書にはリグーリアで乾燥の練りもの(乾燥パスタ)の生産が記され、1400~1500年にはこの辺りで手作りの「Fedei」(フェデイ:この地方の言葉でパスタ)生産が広まりました。
1574年にはジェノヴァでパスタ組合、その3年後にはサヴォナで「パスタ職人組合規則」が制定されました。

一方、人口増加により食糧の供給問題を抱えていたナポリでは、小麦の普及と粉を挽く機械の発明によりパスタが低価格で購入出来るようになり、シチリアやリグーリア同様海に面した土地柄パスタを乾燥しやすい環境の下パスタ文化が広がっていきました。

1740年、ヴェネツィアはPaolo Adami(パオロ・アダミ)に最初のパスタ工場設立権を与え、1763年パルマ公のDon Ferdinando di Borbone(ブルボン家のドン・フェルディナンド)は、リグーリアのサルザナ出身のStefano Lucciari(ステファノ・ルッチャーリ)にパルマで「ジェノヴァ風乾燥パスタ」生産の独占権を与えました。

1778年、Vincenzo Corrado(ヴィンチェンツォ・コッラード)は文献の中で初めてトマトソースに関して記載しました。
それまでソースなしか、あったとしてもチーズをかけて食べられていたパスタにトマトソースをかける食べ方が実際に広まり始めたのは、1800年初め始めの南イタリアからでした

1800年代は粉を挽く機械の発達により、良質なセモリナ粉の生産が可能になり、1900年代になると今後は乾燥技術の発達とリグーリアとナポリへのロシア産の小麦Taganrog(タガンログ)の輸入により、更にパスタはイタリア全土に広まるようになりました。

1933年、セモリナ粉と水を混ぜて生地作り→練り→ダイスを通して生地を押し出す一連の作業を一台で出来る機械が発明され、生産量も消費量も急激に増え、現在イタリア人のパスタ年間消費量は一人当たり30kg前後にもなります。(日本人は一人当たり2.5kg前後)

パスタを良く見てみよう

パスタが出来るまで

ダイスもしくはトラフィラータ大量生産している工場での行程は以下の通り

  • ・混合
  • セモリナ粉と水を混ぜる
  • 分量はセモリナ粉100kgに対して、水30L
  • ・練り
  • 均質な生地になるように真空状態でしっかりと練り上げる。
  • この時に出来るパスタの命ともなるグルテンが出来る。
  • ・押し出し
  • ダイスと呼ばれる銅製、またはテフロン製の鋳型(イタリアではTrafila:トゥラフィーラと呼ばれます)を通して生地を各パスタの形に押し出す。
  • 銅製を通すと表面がザラザラしたパスタになり、ソースにからみやすくなる。
  • 一方テフロン製は表面がツルツルしたパスタになる。
  • ・乾燥
  • 40~80℃の空気が通ったトンネルを通し乾燥させ、その後6~28時間かけて生地を寝かせながら更に乾燥させる。
  • ・包装

パスタの栄養素

今回取り上げている乾燥パスタ100g中にに含まれる栄養素は、70~75%が炭水化物、11~15%がプロテイン、1~2%が脂肪、その他ビタミンB(茹でている間に分解されてしまいます)、ミネラル、リン、カリウムなどを含み、350kcalあります。

栄養素からみると、吸収がよくエネルギー源になる炭水化物が多く含まれていることがよく分かります。

パスタだけですと蛋白質、脂肪、ビタミンが不足するので、これらを十分に含んだソースと合わせると、とてもバランスのよい一品になります。

パスタの種類、おいしく食べるには

色つきコンキリエ先にも書きましたが、今回取り上げているのは乾燥パスタ。
では、その他のパスタとはどんな違いがあるのでしょうか?

この違いはパスタに含まれる水分量と使用される粉の種類で決まります。

乾燥パスタ
水分量12.5%以下でセモリナ粉か半セモリナ粉(全粒小麦粉とセモリナ粉の間)で作られたもの
Pasta Fresca(生パスタ)
水分量12.5%以上30%以下で硬質小麦粉を使用してもよい
Pasta Speciale(スペシャルパスタ)
上記以外の水分で他の食べ物(野菜、卵、詰め物など)を含んだもの

また、乾燥パスタを形で分けると3つの種類になります。

Pasta Lunga(ロングパスタ)
Spagetti(スパゲッティ)、Tagliatelle(タリアテッレ)、Bucatini(ブカティーニ)など

ロングパスタ

Pasta Corta(ショートパスタ)
Penne(ペンネ)、Fusilli(フジッリ)、Rigatoni(リガトーニ)など

ショートパスタ

Pasta Piccola(スモールパスタ)
またはPastina(パスティーナ)
Stellina(ステッィーナ)、Anellini(アネッリーニ)、Filini(フィリーニ)など

スモールパスタ

これらのパスタの使い分けは、ソースによって決まります。
一般的に、濃いソースはパスタの表面積が大きいものが合うとされていて、ソースとパスタをしっかりからめたい時には銅製のダイスで押し出されて表面がザラザラしたショートパスタ、スープに入れる場合にはパスティーナがよく合います。

茹で方は、パスタ100gに対して1Lの塩水で歯ごたえが残る硬さ「al dente」(アル・デンテ)にするのが基本です。
硬すぎると消化が悪く、柔らかすぎても水分を多量に含んでしまうため消化が悪くなってしまします。

職人が作るパスタ FABBRI(ファッブリ)

ジョヴァンニ・ファッブリさん大量生産をする工場そして一般的なパスタについて書いてきましたが、ここで職人技がまだまだ残るここイタリアのパスタ職人を紹介します。

その名もFABBRI。


ファッブリの歴史

ルネッサンス期にCintoia(チントイア)に住み行政長官を務めていたファッブリ家。

1770年の書類には一族の名前と一緒に小麦が描かれた紋章が残っています。

その後、1800年代後半に初代にあたるGiovanni Fabbri(ジョヴァンニ・ファッブリ)氏がフィレンツェから車で30分ほど離れたStarada in Chianti(ストラーダ・イン・キャンティ)の広場沿いに土地を購入し、粉挽き場の設備を整えパンやパスタ、その他の食品を販売し始めました。

当時は馬を使って粉挽きをしていましたが、1911年には電気を使用するようになり、1956年には生地の練りから銅製ダイスを通して生地を形作る機械を購入し、今に至っています。
1960年代になるとテフロン製ダイスを使用するようになりましたが、1980年代には昔ながらの銅製ダイスでの生産を復活させ今では両方を使用しています。

現在は4代目にあたり、創設者である曾祖父と同じ名前のジョヴァンニ・ファッブリさんが、5代目になるであろう息子のMarco(マルコ)さんや少数の従業員達とこの工房を守りつつ、新たな商品への研究をしています。

ファッブリ家の企業秘密

大量生産とは違う職人が手がけるパスタの秘密はたくさんあります。
その中のいくつかを紹介すると・・・

  • 選りすぐりの硬質小麦から取れる高品質のセモリナ粉を使用
  • ここでは、シエナ周辺で取れる硬質小麦を使用しています。
  • 小麦を大量生産することが主流だった1950年代は通常1ha7000kgも生産されていましたが、ここでは現在1ha1500kgしか取れない高品質の小麦を使用しています。
  • どの生産過程においても生地がある一定の温度以上にはならないこと
  • 銅製ダイスを通しての形作り

左が銅製、右がテフロンのダイス

  • 低温で長時間かけての乾燥作業
  • 湿度85~90%の中で、2~5日間かけてじっくり乾燥させます。
  • 湿度を与え長時間かけることによって、割れにくいパスタが仕上がります。

乾燥質で乾燥されるパスタ

湿度が少ないカラッとした気温の高いところで急激に乾燥させると割れやすいパスタになるそうです。

そして何よりもパスタにとって重要なのは、グルテン。
ジョヴァンニさんの言葉をかりると

  • 「グルテンは【Anima di Pasta】(パスタの魂)」

取材時にも最初から

  • 「グルテンを見たことがあるか? 後で見せてあげるから」

の言葉を繰り返していた彼。

グルテンを取り出す「小麦粉と水を混ぜると生地としてまとまるのはグルテンによる」程度の理解しかなかったので、「グルテンを見せてあげる」という言葉を大きなクエスチョンマークと共に考えていると、どこからともなく入れ物とセモリナ粉と彼ら発祥の地チントイアの水を持ってきて、セモリナ粉と水を徐々に混ぜていきました。

1つの生地になると、生地を片手で持ち生地が溶けてしまうくらいたくさんの水をかけて更に手で生地をこね始めました。
すると、生地から流れ落ちるのは白い液体で、ジョヴァンニさんの手の中に残ったのは黄色い塊。
そう、これがグルテンだったのです。


このグルテンは水分を欲する性質を持っているので、乾いた手で持とうとするピッタリとくっついてしまい、水の中に入れると水分が満たされた状態なのでくっつかず、形を崩さずいます。

グルテンとジョヴァンニさんパスタを茹でた後の茹で汁が 白いく濁るのは澱粉質がパスタから溶け出したからです。
伸ばしてもゴムのようにすぐに元の形に戻ってしまうことからも分かるように、グルテンはパスタに弾力を与えます。

ジョヴァンニさんは子供の頃、このグルテンを壁や天井に釘で止めて3時間後どのくらい伸びているかを見て遊んだそうです。

さすが、パスタ職人の血を引いていますね。


普通の小麦粉だと溶けてしまいますこのちょっとした実験に興味をそそられ早速軟質の小麦粉と水で同じことを試してみましたが、やり方が悪いせいとグルテンの量が少ない軟質の小麦粉からはセモリナ粉のようにしっかりとしたグルテンが出来ずに終わりました。

FABBRIのパスタは、パスタ500gに対して5Lの塩水(1Lに対して10gの塩)で常に沸騰した状態で茹でることがポイントです。

袋に書いてある茹で時間が一般的な商品より少し長めなのは、グルテンがしっかりしているのでじっくり茹でても大丈夫なのです。

職人が作るパスタならではです。

これらの職人が作ったパスタに上手にソースを絡めるには、ソースの水分を多くしておくとパスタがそのソースを吸って味が馴染みよく絡みます。
またソースの吸収でパスタが伸びるのをとめるには、オリーヴ・オイルを加えるとパスタの表面がふさがれて水分の吸収を抑え、多少伸びるのを抑えることが出来ます。

スーパーで売っている形や色が珍しいパスタをお土産にするのも楽しいですが、職人パスタを味見するのもいいですね。
ソースと合わせる前に、パスタ自体の味、そう「麦の味」をじっくり楽しんで下さい。

現在のパスタ工場

ファッブリの商品1920年代には各町に2~3箇所あったパンとパスタ工房も1960~80年代になるとトスカーナ州で約200、そして現在はフィレンツェ県で唯一のここFABBRIのパスタ工房。

ジョヴァンニさんのパスタへのPassione(情熱)が、次世代へも続くことを願っています。
食する私達も情熱を持って味わっていたいですね。

Pastificio Artigiano FABBRI(パスティフィーチョ・アルティジャーノ・ファッブリ)

住所
Piazza Emilio Landi, 17 Starada in Chianti
TEL
055-858013
FAX
055-858413

LinkIconファッブリのホームページへ

博物館

国立食品パスタ博物館

国立パスタ博物館ローマのトレヴィの泉近くにある国立食品パスタ博物館。
パスタに関する現存する各種文書、麦、歴史、製造工程昔、宣伝ポスター、写真、機械などが展示され、パスタの全てが分かります。
日本語でのオーディオガイドでの見学も可能です。

Museo Nazionale delle Paste Alimentari(国立食品パスタ博物館)

住所
Piazza Scanderbeg, 117
TEL
06-6991119/ 06-6991120
FAX
06-6991109
開館時間
月~日曜 9:30~17:30

LinkIcon国立食品パスタ博物館のホームページへ

ウィークエンド・フィレンツェ(フィレンツェ、ローマの美術館予約)

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