四十四通り目
Via Santa Margherita e Via Dante Alighieri
(サンタ・マルゲリータ通りとダンテ・アリギエーリ通り)
イタリアを代表する詩人Dante Alighieri(ダンテ・アリギエーリ)の生家があることで知られている通り。
町の中心にありながら、意外と訪れる日本人が少ない界隈を歩いてみましょう。
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Via del Corso(コルソ通り:第五の通り)と交差するのが Via Santa Margherita(サンタ・マルゲリータ通り)。
17世紀の「受胎告知」と「Casa di Dante」(ダンテの家)の看板が目印です。
雰囲気あるアーチを進むと団体ツアーの観光客が何組も小さな教会を見学している光景が目に入ります。
何の変哲もない小さな教会、実はイタリアを代表する詩人ダンテ・アリギエーリを語る上では外すことの出来ない重要な教会なのです。
その前にダンテ・アリギエーリとは?
1265年~1321年 フィレンツェ生まれの詩人・政治家・哲学者。
生まれた日にちははっきりしておらず、彼が書いた「神曲」の一節から判断すると5月中旬から6月中旬。
政治家でグエルフィ党(教皇派)だった彼は、ギベリーニ党(皇帝派)との争い、更にはグエルフィ党内の白党と黒党の内部分裂により1301年にフィレンツェから追放され、主に北イタリアを中心に転々とし1321年9月13~14日の深夜に亡命先のRavenna(ラヴェンナ)で亡くなりました。
追放後は一度もフィレンツェへ足を踏み入れることなく、お墓もラヴェンナにあります。
亡命中にトスカーナ方言で書いた「神曲」(La Divina Commedia:神聖なる喜劇)は、現代イタリア語の基礎となった重要な作品です。
イタリアの2ユーロ硬貨のデザインには、あのRaffaello(ラッファエッロ)が描いたダンテの肖像画が用いられています。
まさに、聖書の中の言葉「Nessuno e` profeta in patria.」(預言者郷里に入れられず=偉大な人物といえども故郷で早くから評価されることはまれである。)が当てはまる人物です。
さて、このダンテにゆかりある Santa Margherita dei Cerchi(サンタ・マルゲリータ・デイ・チェルキ教会)は、Santa Margherita di Antiochia(アンティオキアのサンタ・マルゲリータ)を奉った教会です。
アンティオキアはトルコ南部のアンタキアという都市。
1032年に建てられ、フィレンツェの中でも歴史があるとても古い教会です。
1353年からCerchi(チェルキ)一族が所有していたことから教会名に一族の名前が入っています。
約1000年の間に何度も手が加えられ、現在に至っております。
この教会にたくさんの観光客が訪れているのは、
- ダンテが生涯愛し続け「神曲」にも登場させている女性 Beatrice(ベアトリーチェ)と知り合った場所(諸説あり)
- ダンテが Gemma Donati(ジェンマ・ドーナティ)と結婚をした場所
- ベアトリーチェが眠るお墓がある場所
と言われているからです。
暗い教会内には、ダンテとベアトリーチェが出会った場面を描いた絵、ベアトリーチェのお墓の他、入って右端には1966年11月4日アルノ川大氾濫の際の水位を表したプレートや祭壇の手前にはナポリで強く信仰され、コック・お菓子職人の守護聖人でもあるPasquale Baylon(パスクアーレ・バイロン)のを祀った碑もあります。
パスクアーレ・バイロンとザバイオーネについて
教会を出た正面には、フィレンツェの伝統工芸・革製品の工房兼ショップ「Taddei」(タッデイ)のショーウインドが現れます。
店に入ると、3代目として店と技術を守り続けているシモーネさんが彼の作品に惹きつけられたお客様に丁寧に説明をしてくれます。
「英語圏のお客様が多いから、自然と覚えたんだよ。」
という彼の英語はなかなかのものです。
扱っているのは、各種箱、ペンケース、メガネケース、名刺入れ、小銭入れなど。
ツルっとした手触り感の中にシモーネさんのぬくもりも感じる品々です。
「TADDEI」(タッデイ)
住所 |
Via Santa Margherita, 11
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TEL |
055-2398960
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営業時間 |
8:15~19:30
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定休日 |
日曜
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サンタ・マルゲリータ通りを突き当たった所にあるのが1880年に命名されたVia Dante Alighieri(ダンテ・アリギエーリ通り)、小さな広場に面して建っているのがダンテの生家です。
ダンテの死後、兄弟のFrancesco(フランチェスコ)が1332年に建物を一部を売り、残った部分はダンテの子供達がその後数年維持していました。
ダンテ生誕600年の1865年からこの建物を「ダンテの家」として残す計画が本格的に開始され、彼が生まれた時代の建物の形に戻すため壁や天井の構造の検査や分析が行われました。
実際に工事にとりかかったのは1865年から更に先の1911年からでした。
現在は、Museo Casa di Dante(ダンテの生家博物館)としてダンテゆかりの品々が展示されています。
博物館の周りにいると、次から次へとヨーロッパや中国、韓国の団体ツアーが押し寄せ、それぞれの国の言葉で説明しているガイドさんの話に耳を傾けている様子が見られます。
特に多く感じたのは、イタリア人の学生グループ。
日本の授業で聖徳太子や徳川家康について学ぶよう、イタリアではダンテについて学ぶんだろうなと思いました。
「Museo Casa di Dante」
(ダンテの生家博物館)
住所 |
Via Santa Margherita, 1
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TEL |
055-219416
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開館時間 |
4~9月 10:00~18:00 / 10~3月 10:00~17:00
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閉館日 |
4~9月 無休 / 10~3月 月曜
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※チケット窓口は閉館時間の30分前に閉まります
1000~1300年代から頭を現代へと戻り、ダンテ・アリギエーリ通りを市内の方向へ進むんで行くと、可愛いホームファッションのショップsia(シーア)があります。
1963年にデザイナーSonja Ingegerd Anderssonさんがスウェーデンにショップをオープンし、その後ヨーロッパを中心にショップ展開しイタリアにやって来たのが2000年。
家での生活が楽しくなるような食器やキャンドル、様々なオブジェ、お洒落でカラフルな造花、子供の部屋グッズが揃っています。
細いダンテ・アリギエーリ通りにはなぜか B&B が多くあります。
しかも同じ建物内に2つずつ。 安価で市内に滞在したければ、場所的にピッタリです。
「Dei Mori B&B」(デイ・モーリ B&B)
住所 |
Via Dante Alighieri, 12
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TEL |
055-211438
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「Badia Fiorentina Guest House」
(バディア・フィオレンティーナ・ゲスト・ハウス)
住所 |
Via Dante Alighieri, 12
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TEL |
055-219126
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「Casa di Dante B&B」(カーザ・ディ・ダンテ B&B)
住所 |
Via Dante Alighieri, 14
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TEL |
055-280536
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「Cimatori B&B」(チマトーリ B&B)
住所 |
Via Dante Alighieri, 14
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TEL |
055-2655000
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ダンテゆかりの界隈散策はここでおしまいです。
イタリアには欠かせない人物を思いながら、ウッフィツィ美術館とドゥオモ間の移動途中にちょっと立ち寄ってみて下さい。
2009年5月 宮崎