五十通り目 Via Faenza(ファエンツァ通り)
Fortezza di Basso(バッソ要塞)からCapelle Medicee(メディチ家礼拝堂)までを結んでいる長い通りです。
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以前は今の約半分、ちょうどVia Nazionale(ナツィオーレ通り)までの長さでVia di Porta a Faenza(ファエンツァ門通り)という名前がついていました。
門は1200年代に建てられ、Emilia Romagna(エミリア・ロマーニャ州)にあるファエンツァという町へと続いていました。
現在の通り名は町の名前から取られたのではなく、通り沿いにあったMonastero Vallombrosane Faentine(ヴァッロンブローザ・ファエンティーナ修道院)から名付けられました。
修道院は今は残っておらず、バッソ要塞が建てられた1500年代半ばに壊され、修道僧達はCovento di San Salvi(サン・サルヴィ修道院)へと移動しました。
今は個人商店、バール、トラットリアが多いですが、当時はこの修道院の他にも宗教関係の建物が多くあったため宗教色が強い通りでした。
バッソ要塞を背にし、メディチ家礼拝堂の方へ向かって進んで行きましょう。
左手にある68番地の下に、なにやら石版があります。
「1966年11月4日 アルノ川の水がここまで来た」と書いてあり、ここ以外でも市内でよく見かける、フィレンツェ人にとって忘れられない日の印です。
扉の高さから判断すると、地階(日本の1階)の半分くらいは浸水してしまったことになります。
少し進み、Via Bernardo Cennini(ベルナルド・チェンニーニ通り)との角にある黄色い建物はフランスの詩人Alphonse de Lamartine(アルフォンス・ド・ラマルティーヌ)が1827~1829年に住んでいた家です。
彼はフランス近代抒情詩の祖とされ、後に政治家として活躍しました。
フランスの小説家Stendhal(スタンダール)とも親交があり、1828年スタンダールがここに滞在中に彼の代表作品となる「赤と黒」を書いたと言われています。
ベルナルド・チェンチーニ通りと交差する所には、宗教色が強かった頃の面影を残すChiesa di San Giuliano(サン・ジュリアーノ教会)があります。
Bartolo Benvenuti(バルトロ・ベンヴェヌーティ)によって14世紀に女子修道院として創設され、1585年に宗教的に認められ、その後1808年まで修道院としての機能を果たしていました。
正面には「Venite Adoremus」(崇敬すべき人の元へ来よ)と書いてあります。
宗教色が弱くなった今、通りを歩いているとよく目に入るのが1~3ツ星のホテルです。
1856年Gaspero Barbara(ガスペロ・バルバラ)によって印刷所が建てられた建物には、その記念碑と一緒にホテルの看板があります。
歴史的建物の多くがホテルになっているのもこの通りの特徴です。
ホテルの看板を見ながら進むと、左側40/48番にEX-Conveto di Sant'Onofrio(元サントノフリオ修道院)があります。
Pietro Pergino(ピエトロ・ペルジーノ 1450年頃~1523年)が描いた「Cenacolo」(最後の晩餐)がある所として知られています。
彼の他の作品では「ペテロへの鍵の授与」(システィーナ礼拝堂)、「マグダラのマリア」(ピッテイ宮殿)、「ピエタ」(ウッフィツィ美術館)なども有名です。
「Cenacolo del Convento di Sant'Onofrio detto di Fuligno」
(サントノフリオ修道院の最後の晩餐)
住所 |
Via Faenza, 40
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開館時間 |
火・木・土曜 9:00~12:00
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閉館日 |
1月1、5月1日、12月25日
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※「最後の晩餐」の入り口は40番
右側、赤い字の101番地にあるのは1716年創業のErboristeria Gremoni(エルボリステリア・グレモーニ)。
エルボリステリアとは薬草専門の薬局で、フィレンツェにはたくさんのエルボリステリアがあります。
日本で言うと漢方薬局でしょうか。
それぞれに伝わる昔ながらの処方で作られた商品が各エルボリステリアの特徴にもなっています。
創業当時から家族経営なので、守り続けられたここだけの秘密商品もあるかもしれませんね。
「Erboristeria Gremoni」
(エルボリステリア・グレモーニ)
住所 |
Via Faenza, 101r
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TEL |
055-2396032
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営業時間 |
9:00~13:00/ 15:30~20:00
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定休日 |
日曜、月曜の午前
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フィレンツェの町を囲むViale(大通り)とSanta Maria Novella(サンタ・マリア・ノヴェッラ)駅を結ぶナツィオーレ通りと交差する地点以降のファエンツァ通りは一気に賑やかな雰囲気へと変わります。
ショップやレストランの数も多くなり、ただ歩いているだけでも楽しい通りです。
ナツィオーレ通りを越した左の店先に、仮面を被った2体の人形があるのが目に入ります。
フィレンツェでは珍しく、仮面を作り販売している仮面専門店Alice Atelier(アリーチェ・アトリエ)です。
サルデーニャ島出身のアゴスティーニさんと娘さんのアリーチェさんが手がける店は、たくさんの仮面と小さな工房スペースがありまるでおもちゃ箱のよう。
アゴスティーニさんは1988年のイタリア映画「La Maschera」の仮面を手がけ、アリーチェさんと共に仮面制作コースも行っています。
紙製の他、革製の仮面を作るコースもあり、体験型の滞在をしたい方にはおすすめです。
「Alice Atelier」
(アリーチェ・アトリエ)
住所 |
Via Faenza, 72r
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TEL |
055-287370
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営業時間 |
9:00~13:00/ 15:30~19:00
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同じ並びに古き良き時代のバールを思わせるCaffe` Sabatino(カフェ・サバティーノ)があります。
1700年代の建物内、200年前までは馬車置き場として使用されていた場所に1921年、Sabatino Folli(サバティーノ・フォッリ)氏がCaffe` Bengasi(カフェ・ベンガージ)をオープンさせました。
それ以降、90年間弱同じ家族が経営する歴史あるカフェの1つで、Esericizi Storici Fiorentini(フィレンツェの歴史ある店)にも指定されています。
飲み物の他、パスタ類などのプリモピアット、パニーニなどがあるので簡単に食事をしたい時やちょっと一休みをしたい時に便利です。
個人商店が立ち並ぶ通りに出っ張るように建っているChiesa di San Jacopo in Campo Corbolini(サン・ヤコポ・イン・カンポ・コルボリーニ教会)まで来たらそろそろ終盤です。
ここは1206年に建てられ、1256年からテンプル騎士団が所有し、その後はサン・ジョヴァンニ騎士団、マルタ騎士団へと続きました。
柱の上部には十字架が、建物の角にはマルタ騎士団のシンボルマークらしき跡が残っています。
その先右にあるのは、アンティーク好き、カメラ好き、時計好きにはたまらないLo Zodiago(ロ・ゾディアゴ)。
アンティークのカメラや時計が並ぶショーウインドウには「この工房はアンティーク及び現代のカメラや時計、振り子時計の修理をします」と書いてあります。
アンティーク品を修理してくれるところはそうないので、とても貴重な一店です。
「Lo Zodiago」(ロ・ゾディアゴ)
住所 |
Via Faenza, 35r
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TEL |
055-212347
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最後に紹介するのは2009年初めにオープンしたderbi(デルビ)。
青を基調とした店内は本屋兼ジュエリー店兼雑貨屋があり、更にはカフェと展示スペースまである多目的空間になっています。
特に雑貨類はイタリアではなくマグレブ(北アフリカのリビア、チュニジア、アルジェリア、モロッコ)を中心としたアラブ系の商品を出しているのがここの特徴です。
カフェには飲み物、サラダやパニーニ、クスクスがあり、18:00からはアペリティーヴォもやっています。
ショップというより、自分の部屋や友達の家にいるような感じです。
WI-FI接続が可能なので、長居してしまいそうな予感も・・・。
「derbi」(デルビ)
住所 |
Via Faenza, 21r
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TEL |
055-218963
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営業時間 |
火~木曜 12:30~19:30、 金・土曜 12:30~22:30、 日曜 15:30~19:30
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定休日 |
月曜
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有名な観光スポットがない分、地元の人も多く見かける庶民的な通りをぶらぶらと散策してみて下さい。
2009年11月 宮崎