五十一通り目 Via San Niccolo` e Piazza Giuseppe Poggi
(サン・ニッコロ通りとジュゼッペ・ポッジ通り)
Piazzale Michelangelo(ミケランジェロ広場)の下に位置する通りと広場です。
下町っぽい雰囲気が残るこの界隈は、昔ながらの個人商店の他、ここ数年飲食店が増え特に夏は若者達で賑わっています。
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Ponte alle Grazie(グラツィエ橋)のたもとにあるMuseo Bardini(バルディー二美術館)側からこの通りを進んでいきましょう。
最初しばらくは高い建物が両脇に続き昼間でも薄暗い印象を受けますが、左側にシンプルなファザードを持つ教会が見える所から一気に賑やかな雰囲気へと変わります。
この教会は通りの名前にもなっているSan Nicola di Mira(ミラの聖ニコラ)に捧げられたもので、Chiesa di San Niccolo` di Oltrarno(オルトラルノ・サン・ニッコロ教会)です。
聖ニコラは、海運の守護聖人で12月24日から25日にかけて子供達にクリスマスプレゼントを配るサンタクロースのモデルとなった人物としても知られています。
オルトラルノは、フィレンツェのアルノ川左岸の地域を表し、ドゥオモや駅がある地域とはアルノ川を挟んで反対側になります。
教会の歴史は古く、1184年の教皇の大勅書にはすでにこの教会についての記載があり800年以上の歴史を刻んでいます。
800年もの間に増築や修復が行われ、1966年のアルノ川大氾濫の時には多大なる被害を受けました。
今はその面影をほとんど残すことなく、この通りと人々の生活を見守っています。
通りはここでローマ字のYの字になり、右にのびる通りはVia di San Miniato(サン・ミニアート通り)になります。
この通りはミケランジェロ広場より更に高い所に位置するBasilica di San Miniato al Monte(サン・ミニアート・アル・モンテ教会)へと続く参道になっており、名前もこの教会にちなんで付けられました。
右側にはなんだか楽しそうな店が並んでいるので、早速覗いてみましょう。
木製の入り口が一際目立っているエノテカ・バー・Bevovino(ベーヴォヴィーノ)。
「ワインを飲む」という名のここのメインはワイン。
ワインがより美味しく飲めるような料理も揃っていて、気軽にワインと食事が楽しめる店です。
店内のインテリアはオーナーとその友人達が手がけ、手作り感たっぷりの暖かい雰囲気。
気に入ったワインはボトルで買うことも出来ます。
「Bevovino」(ベーヴォヴィーノ)
住所 |
Via San Niccolo`, 59r
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TEL |
055-2001709
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左隣りにはベーヴォヴィーノとは一転してモダンな店が現れます。
ここは食材店兼お惣菜店兼エノテカ兼食事処のZeb(ゼップ)。
ジュゼッピーナさんとアルベルトさん親子が明るい笑顔で出迎えてくれます。
棚にはパスタやソース、ジャムなどイタリアのこだわり食材とワインが並び、カウンターにはチーズやサルミ類の他、手作りのお惣菜が並んでいます。
お惣菜はマンマ・ジュゼッピーナさんの手作りで、持ち帰りもカウンターに座ってその場で食べることも出来るようになっています。
昼時になると常連さんや散策中の観光客などが立ち寄り、カウンター内で働く親子との会話を楽しみながらランチタイムを過ごす姿が見かけられます。
金曜日と土曜日は22:30まで開いているので、レストランでキチンとした夕食は食べられないけど、ちょっと何か暖かい物が食べたい時にはおすすめです。
「Zeb」(ゼップ)
住所 |
Via San Miniato, 2
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TEL |
055-2342864
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営業時間 |
月・火・木・日曜 9:30~17:30、金・土曜 9:30~22:30
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定休日 |
水曜
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正面に見えるのは、Porta San Miniato(サン・ミニアート門)。
フィレンツェを取り囲む城壁の1つの門として1300年代初めに造られました。
今も尚、市内には城壁の門がいくつか残っていますがサン・ミニアート門はそれらの門と比べると低く、この付近はまだ城壁が残っているのが特徴です。
門は町の外と内の通路としてだけでなく見張り台としても利用されていた当時、この門付近では見張りの兵士達は門の上やそれに続く城壁の上を歩きながら任務を遂行していました。
そのため、門の脇には上まで行く階段が今も残っています。
オルトラルノ・サン・ニッコロ教会同様、サン・ミニアート門も1966年のアルノ川大氾濫で被害を受け修復されています。
来た道を引き返しサン・ニッコロ通りまで戻ってきた正面にある店のショーウインドウには、なにやら小さな人形達が並んでいます。
ここはプレゼピオの店La Bottega del Presepe(ラ・ボッテガ・デル・プレゼーペ)。
フィレンツェでは珍しいプレゼピオを扱う店です。
プレゼピオとは、イエス・キリストが生まれた馬小屋の様子を人形で表現した模型のことで、クリスマス時期に教会に飾られます。
12月25日まで馬小屋にはイエス・キリストの人形はなく、誕生後ようやく置かれます。
クリスマスツリーではなく昔からの文化としてプレゼピオを飾る家庭もあり、特にナポリではプレゼピオの工房が集まる一角もあります。
毎年少しずつ人形を増やしていくのも楽しみの1つなんだそうです。
「La Bottega del Presepe」(ラ・ボッテガ・デル・プレゼーペ)
住所 |
Via San Niccolo`, 58r
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TEL |
055-2344947
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La Bottega del Presepe のホームページへ
再びサン・ニッコロ通りを進んでいきましょう。
フィレンツェの町の中心は石やレンガ造りの建物が並び色合い的にはグレーやレンガ色が中心ですが、この界隈はカラフルな建物が意外と多いことに気がつきました。
しかも大体が、各階窓が2つずつくらいの細長い建物。
京都でいう「鰻の寝床」。
チンクエ・テッレやポルトフィーノなどイタリアの海沿いの町はパステルカラーの綺麗な色合いが特徴的ですが、フィレンツェにも似たような所があったんですね。
プレゼピオの店に引き続きまた珍しい店があります。
Isola di Ischia(イスキア島)料理の店La Piperna(ラ・ピペルナ)。
数社の新聞でも紹介されています。
イスキア島はトスカーナ州の島ですが、周りを海で囲まれているので内陸にあるフィレンツェ料理とはまた違う料理が楽しめるでしょう。
この日は開いていなかったのでメニューを見ることが出来ませんでしたが、また機会をみつけて行ってみたいと思います。
「La Piperna」(ラ・ピペルナ)
住所 |
Via San Niccolo`, 48r
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TEL |
055-2343336
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La Piperna のホームページへ
通りの先にPorta San Niccolo`(サン・ニッコロ門)が見えてくる頃になると、洗濯物は通り沿いに干さないのが基本ですが、ここではそんなの関係なく干してあったり、おじさんが奥の方で作業をしている機械関係の個人商店があったり、Circolo(チルコロ)と呼ばれる日本でいうと各地区ごとにある公民館のような所もあったりして下町感バッチリのエリアになります。
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サン・ニッコロ通りを抜けPiazza G.Poggi(ジュゼッペ・ポッジ広場)にサン・ニッコロ門はそびえ立っています。
ジュゼッペ・ポッジ(1811~1901年)はフィレンツェ出身の建築家・都市工学学者で、都市開発を行い町に貢献した人です。
サン・ニッコロ門は1300年代初めに造られ、市内に残る門の中で唯一高さがそのまま残されている門です。
外側として使用されていた部分の左右2箇所のニッチ(壁がん)にあったライオン像(現在、ライオンはありません。)とアーチの真ん中フィレンツェのシンボルマークが町を守っていました。
内側は大きなアーチが3つあり、当時は各階が見張りの兵士の部屋となっていました。
アーチの上部にわずかに残るフラスコ画には、聖母子とフィレンツェの守護聖人聖ジョヴァンニ(聖ヨハネ)とこの地区の名前にもなっているバーリの聖ニッコロが描かれています。
ここまで来たら少し頑張ってミケランジェロ広場へと続くジグザグの坂道を上ってみましょう。
半分弱くらい来た所から眺める景色もまた素敵です。
2009年12月 宮崎