五十七通り目 Via de' Neri(ネーリ通り)
ウッフィツィ美術館の出口付近からサンタ・クローチェ教会方面へ続くVia de' Neri(ネーリ通り)。
町の中心にあって意外と地元色が強い通りを紹介します。
Neri(ネーリ)とはNero(ネーロ:黒)の複数形。
この通りの名前は「黒い通り」なのか?と思いきや、フィレンツェのNori(ノ―リ)一族の名前がNeriになり通りの名前になりました。
Nori一族の一人Francesco Nori(フランチェスコ・ノ―リ)はLorenzo de' Medici(ロレンツォ・デ・メディチ)をPazzi家(パッツィ)の陰謀から護り、命を落とした英雄です。
彼の名誉を称えお墓はサンタ・クローチェ教会につくられました。
さて、ネーリ通りを進んでいきましょう。
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通りの入口の右側にあるのはLoggia del Grano(小麦のロッジア)。
1619年にCosimoⅡ(コジモ2世)によって建てられ1690年まで小麦の市場として使用されていました。
その後、改築を重ね現在に至っています。
建物の角には口から水をはく男性像の噴水があり、暑い日には水を求めて手を伸ばす観光客の姿が見られます。
ネーリ通りをはさんでロッジアと反対側の建物はTorre dei Filipetri(フィリペトリの塔)と言い、今は建物の一番上に塔の一部が残っているのみになります。
地元色強いこの通りには、フィレンツェ市認定のESERCIZI STORICI FIORENTINI(フィレンツェの歴史ある店)のステッカーが貼ってある店舗が多いのが特徴です。
1軒目はフィリペトリの塔の並びにあるMacelleria Anzuini e Massi(アンズイーニ・マッシ肉屋)。
1800年代末に肉屋を始めたCalo`(カロ)さんから1938年にピエトロ・マンズイーニさんとロレート・マッシさんへと経営が代わり豚肉専門店となりました。
店内には1800年代の大理石のカウンターや鋳鉄製の脚付きの大理石のテーブル、1930年代の銅製の大きな秤、額に入った肉屋の資格証などがあり歴史を感じさせてくれます。
「Macelleria Anzuini e Massi」(アンズイーニ・マッシ肉屋)
住所 |
Via de'Neri, 84r
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TEL |
055-294901
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ホームページ |
自転車や商業車が行き交う道を進むと右手にワインを片手にパニーニを食べている人達を発見。
外にも店内にもワインが並び、ショーケースの上には一口サイズのクロスティーニやパニーニ、カウンターの中では気のよさそうなお兄ちゃんが笑顔でお客さんのリクエストにこたえています。
トスカーナワインを中心にグラスワインとパニーニが楽しめるお店は、昼時と夕方以降は地元の人達で賑わっていて「常連さん率高し!」です。
店内のワインリストには1.5~10ユーロのワイン、でも外にずらりと並んだワインは何を飲んでも1杯2ユーロ。
お兄さんにグラスをもらい自分の好きなワインを注ぐセルフサービスコーナーになっています。
遠慮せず、なみなみ注ぐのがポイント。
自分好みのパニーニやワインと相性バッチリのおつまみと共に、気さくな雰囲気の中でワインが楽しめます。
「all’Antico Vinaio」(アッランティコ・ヴィナイオ)
住所 |
Via de’Neri 65r
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TEL |
055-2382723
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営業時間 |
8:00~15:00/ 17:00~21:00
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定休日 |
日曜の午後
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Via dell'Osteria del Guanto(オステリア・デル・グアント通り)をはさんでアッランティコ・ヴィナイオの隣にはフィレンツェの北に約30km離れた刃物の町Scarperia(スカルペリア)のConsigli(コンシーリ)の商品を多く扱う刃物専門店のAntica Coltelleria Fiorentina(アンティカ・コルテッレリーア・フィオレンティーナ)があります。
肉好きの私としては、いつかここでビステッカを食べる時に使う切れのいいナイフを探してみようかと思っている一店。
コンシーリの商品にはイタリアの地方名がついた特徴あるナイフもあるので、刃物好きは要チェックです。
「Antica Coltelleria Fiorentina」
(アンティカ・コルテッレリーア・フィオレンティーナ)
住所 |
Via de’Neri 63r
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TEL |
055-294090
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営業時間 |
火~土曜 10:00~13:30/ 15:00~19:30
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定休日 |
日、月曜
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通りが左に少し曲がった所には中世の建物Palazzo Bagnesi(バニェージ宮殿)とPalazzo Soldani(ソルダーニ宮殿)が2つ並んでいます。
バニェージ宮殿は15世紀の建物で、外観には当時の様子が残っています。
2つの宮殿の前には2軒目のESERCIZI STORICI FIORENTINIの店1933年創業食料品店Primizie(プリミツィエ)と3軒目のLa Bottega(ラ・ボッテーガ)がVia San Remigio(サン・レミージョ通り)をはさんで並んでいます。
ラ・ボッテーガはもともと1922年にLombardia(ロンバルディア州)のCremona(クレモーナ)出身の兄弟がパルミジャーノ・レッジャーノとバターを売る店として創業し、その後1954年から現在の経営者になりパスタやオリーヴ・オイル、瓶詰めのソースなどの食品を扱っています。
「Primizie」(プリミツィエ)
住所 |
Via de’Neri 48r
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TEL |
055-2396960
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「La Bottega」(ラ・ボッテーガ)
住所 |
Via de’Neri 44r
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TEL |
055-210841
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ちょうどこの辺りはフィレンツェの中でも高度が低く、昔からアルノ川の氾濫の被害を受けていました。
サン・レミージョ通りにはアルノ川の大氾濫の際の水位を印した石のプレートが2つあります。
低い方は1333年、高い方は1966年のもの。
1966年の水位は約4mもあります。
偶然にも大氾濫の日は両方とも11月4日。
1333年の水位を表したプレートはあまりよく分かりませんが、1966年のプレートにはしっかりとその日が刻まれています。
通りも半分以上過ぎた辺りにある紋章入りの大きな建物はPalazzo di Alberto di Zanobi(アルベルト・ディ・ザノービ宮殿)又はPalazzo Nori(ノーリ宮殿)。
フィレンツェ市内でも珍しく、中世からルネッサンス時代の建築様式への変遷が見られる建物です。
歴史ある建物を見てきた後は、Gelateria dei Neri(ジェラテリア・デイ・ネーリ)で一休み。
普通のジェラートの他、ヨーグルト5種、チョコレート7種、シチリア定番のグラニータの種類も多く夏は10種類ほどあります。
ブリオッシュというパンにジェラートを挟んだシチリア風の食べ方に出来、味も食べ方もバラエティーに富んだジェラテリアです。
フィレンツェはあまり見かけないジェラートサンド、パンとジェラートの組み合わせが気になる方はぜひお試し下さい。
「Gelateria dei Neri」(ジェラテリア・デイ・ネーリ)
住所 |
Via de’Neri 20-22r
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TEL |
055-210034
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四十一番目の通りで紹介したVia de' Benci(ベンチ通り)と交差する少し手前右側にあるのは、通り最後のESERCIZI STORICI FIORENTINIの店舗Giuliano(ジュリアーノ)。
1915年創業の食料品店を引き継ぐかたちでアルノ川大氾濫後の1969年からBaccellini(バッチェリーニ)社が現在のような食料品店をしています。
大氾濫で大きな被害を受けたなかで残った、生ハムを吊るして保存する棒が店内に飾られています。
「Giuliano」(ジュリアーノ)
住所 |
Via de’Neri 5r
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TEL |
055-287380
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ここで通りはおしまいです。
被害を多く受けたにも関わらず、活気ある様子は今も昔も変わらないんでしょうね。
2010年8月 宮崎