五十九通り目 Via dell'Isola delle Stinche
(イゾラ・デッレ・スティンケ通り)
Piazza Signoria(シニョーリア広場)とPiazza Santa Croce(サンタ・クローチェ広場)の間の小道が密集したエリアにあるVia dell'Isola delle Stinche(イゾラ・デッレ・スティンケ通り)を紹介します。
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1700年代後半から1918年までBasilica di San Pier Maggiore(サン・ピエール・マッジョーレ教会)に続いていた道だったため、Via del Mercatino(メルカティーノ通り/ 小市場通り)と呼ばれていました。
今の名前に由来は、ここに牢獄がつくられた1300年代前半にさかのぼります。
当時この通りのすぐ近くに牢獄がありましたが、そこに代わる場所として18mの高さの堅固な壁と壁の外の堀で囲まれた名前通りIsolata、孤立した、切り離された、隔離した場所となりました。
Stinche(スティンケ)は、フィレンツェの有力一族だったCalvalcanti(カヴァルカンティ)家がキャンティ・クラッシコワインで有名な現在のGreve in Chianti(グレーヴェ・イン・キャンティ)のLamole(ラーモレ)にあったCastello delle Stiche(スティンケ城)からきています。
教皇派(Guelfi:グエルフィ)と皇帝派(Ghibellini:ギベッリーニ)で争っていた1303年にグエルフィ派によって攻撃されたギベッリーニ派のカヴァルカンティ家の捕虜達がまだ建築途中だったこの牢獄へと送られ、Isola dei Catturati alle Stinche(スティケの捕虜達の孤島)と呼ばれ、それが短くなって今の名前になりました。
牢獄が壊された1833年以降は暗い歴史がある地域から一転し、1854年にはTeatro Pagliano(パリアーノ劇場)、1901年には現在のTeatro Verdi(ヴェルディ劇場)へと名前を変え、ここ数年レストランやショップが並ぶ楽しい通りになりました。
では、早速通りを進んでいきましょう。
ヴェルディ劇場を左手にVia Ghibellina(ギベッリーナ通り)との交差地点には、大きなTabernacolo(壁がん)があります。
これを目印にそのまま道を進むと、左手はヴェルディ劇場の裏、右手には看板はありませんが中を覗くとなにやらピザ窯があるPizzeria(ピッツェリア)らしき店が現れます。
ここは、同じ建物内(サルヴィアーティ宮殿)にあるOsteria del Caffe Italiano(オステリア・デル・カッフェ・イタリアーノ)のピッツェリアでLa Pizzeria dell'Osteria del Caffe Italiano(ラ・ピッツェリア・デッロステリア・デル・カッフェ・イタリア―ノ)。
面白いのは看板がないだけでなく、予約もクレジットカードも受け付けず、ピッツァの種類はMargherita(マルゲリータ)、Napoletana(ナポレターナ)、Marinara(マリナーラ)の3種類のみ。
値段は1枚8ユーロで、お持ち帰りの場合には7ユーロ。
ピッツァの他にある食べ物は、甘くてしっかりとお酒漬けになっているナポリのお菓子Baba(ババ)のみ。
気合を入れないと食べきれない、手ごわいドルチェです。
飲み物はコーラ、瓶ビールの大小、グラスワイン、水といたってシンプル。
ピッツァを焼くピッツァイオーロはナポリ出身のVincenzo(ヴィンツェンツォ)さん。
ピザ窯の近くの壁には女性のお客さんの写真がたくさん貼ってあり、あたかも女性写真のコレクターのよう。
いや、完全にコレクター。
気分がよく、余裕があり、自分の気に入った女性には、ハート型のピッツァを焼いてくれることもあるのです。
茶目っ気たっぷりのピッツァイオーロ。
ヴィンチェンツォさんとのひと時を楽しみたい方は、オープンと同時の19:30に行くか、22:30頃行くのがいいかもしれません。
「La Pizzeria dell'Osteria del Caffe Italiano」
(ラ・ピッツェリア・デッロステリア・デル・カッフェ・イタリア―ノ)
住所 |
Via dell'Isola delle Stinche,19r
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TEL |
なし
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営業時間 |
19:30~24:00
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定休日 |
月曜
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ラ・ピッツェリア・デッロステリア・デル・カッフェ・イタリア―ノのホームページへ
Via Vigna Vecchia(ヴィーニャ・ヴェッキア通り)とVia dei Lavatori(ラヴァートリ通り)の交差地点Piazza San Simone(シモーネ広場)に面した教会は、1192年前後の小さな祈祷所からの歴史を持つChiesa dei Santi Sione e Giuda(聖シモーネ・ジューダ教会)です。
1209年、1243年に増築と改築が行われ1537年のアルノ川の大氾濫後の1630年にBartolomeo Galilei(バルトロメイ・ガリエーリ)とマルタ騎士団により、今の形へとなりました。
教会内は、1630年前後に活躍したフィレンツェに芸術家達の作品で飾られています。
「Viaで知るフィレンツェ」でもよく出てくる1966年アルノ川の大氾濫。
聖シモーネ・ジューダ教会のファザードにも、その時の水位が白い石版で記されています。
普通の建物の地階部分(日本の1階)を覆ってしまうほどの高さです。
「Chiesa dei Santi Sione e Giuda」(聖シモーネ・ジューダ教会)
住所 |
Piazza San Simone
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広場をよく見ると、ジェラートを手に持った人達を多くみかけます。
そう、ここにはフィレンツェのジェラート屋として有名なVivoli(ヴィヴォリ)があるのです。
牛乳屋として1930年に創業し、その後1937年にジェラートを扱うようになり、現在では地元フィレンツェ人から愛されているジェラート屋として必ず名前が出る老舗です。
ジェラートの味わいは比較的こってり系、一番小さいサイズは1.7ユーロ。
甘い物好きで、美味しい物を気軽に楽しみたいイタリア人に好まれる理由がよく分かります。
ジェラートの他にもドルチェがあり、雰囲気ある店内で飲み物と一緒に食べることも出来ます。
ジェラート兼お菓子屋さんは、なかなかない貴重な1店です。
「Vivoli」(ヴィヴォリ)
住所 |
Via dell'Isola delle Stinche,7r
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TEL |
055-232621
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営業時間 |
4~10月 火~土曜7:30~24:00 日曜9:00~24:00
11~3月 火~土曜7:30~21:00 日曜9:00~21:00
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定休日 |
月曜
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ヴィヴォリの右隣りの小さなお店は、店名にもなっている鳥かごがつる下がっているカフェGabbia(カッビア)。
カフェ、ライトランチでの利用が可能で、店内にはイギリスなどのキッチン雑貨や食品、本が並んでいます。
日曜日はブランチもしているので、ちょっと朝寝坊をして昼のひと時をゆっくりと過ごしたい方にはおすすめです。
「Gabbia」(ガッビア)
住所 |
Via dell'Isola delle Stinche,9r
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TEL |
055-285156
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営業時間 |
火~土曜 10:30~19:30、日曜 12:00~15:00
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定休日 |
月曜
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短いですが意外といろいろある楽しい通りも古代ローマ時代の劇場後が今の建物の形にもなっているVia Torta(トルタ通り)まで出たら通りもおしまい。
フィレンツェは賑やかな通り、エリアから一本入った所が狙い目ですね。
2010年10月 宮崎