第六十通り目 Piazza del Duomo e Piazza di San Giovanni
(ドゥオーモ広場とサン・ジョヴァンニ広場)
60番目の通りは、フィレンツェの中心Piazza del Duomo(ドゥオーモ広場)とPiazza di San Giovanni(サン・ジョヴァンニ広場)です。
「ヴィアで知るフィレンツェ」の連載が始まって60回目にして登場する、フィレンツェに訪れる人が、必ず通り、目にする広場の1つです。
ドゥオーモ広場の名前の由来は、もちろんこの広場に建つCattedrale di Santa Maria del Fiore(サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂)=フィレンツェのドゥオーモです。
ヨーロッパの大聖堂で、4番目に大きいといわれるドゥオーモは、フィレンツェの街の中のあちらこちらから見ることができ、その大きさがうかがえます。
起工式が行われたのは1296年9月8日で、紆余曲折を経て約140年後の1436年に完成しました。
しかし、正面ファザードについては1800年代まで未完成のままでした。
なので、歴史のある建物ではあるものの、現在の姿になってから100年ちょっとしか経っていないのです。
当初、Arnolfo di Cambio (アルノルフォ・ディ・カンビオ;1240-1302)によって建設が進められましたが、途中で彼が没し、Giotto(ジョット;1267-1337)が引き継いだものの、鐘楼の建立を主に進め、大聖堂の工事はほとんど進みませんでした。
ジョットの功績をたたえ、のちに鐘楼は「ジョットの鐘楼」と呼ばれます。
ジョットの後、Francesco Talenti (フランチェスコ・タレンティ;1300-1369) が引き継ぎ、アルノルフォの原案に手直しを入れ、大聖堂をさらに拡張しました。
その後、何人かの手によって引き継がれたものの、大きな計画の変更もなく工事は進みましたが、直径42メートルと大きくなり過ぎたクーポラについては、まったく進まず、100年近く天井がぽっかり空いたままだったそうです。
シエナ、ピサに負けないぐらい立派なクーポラを建設をしたかったフィレンツェは、何度も設計案の公募を行い、1418年にようやくFilippo Brunelleschi(フィリッポ・ブルネッレスキ;1377-1446)の計画を採用することが決まり、1436年に完成しました。
ドゥオーモの歴史については、フィレンツェ関連の各ガイドブック、美術関係の著書などで、必ず紹介されることがほとんどなので、歴史はほどほどに、ドゥオーモを中心に広場を1周してみましょう。
この広場はドゥオーモを取り巻く形になっています。
スタートは第55の通りで紹介したプロコンソロ通り側、正面ファザードの裏側のクーポラ下からです。
ドゥオーモはいつもどこかが修復中で、特にクーポラは修復していない時がなく、足場を少しずつずらしながら行われています。
ドゥオーモ周りは、ちょうど一年前までバス、一般車が通っていたのですが、交通規制が敷かれるようになり、歩行者天国になりました。
それまで排気ガスの影響で、大理石の変色がどんどん進むことが心配されていたのですが、その心配が少し減りました。
現在、唯一、車を見受けられるのが、この場所で、タクシー乗り場になっています。
もちろん一般車両は許可なしには進入出来ません。
ドゥオーモの周りを時計回りと逆に進みましょう。
クーポラの向かい側10番地にはPalazzo Storozzi di Mantova(マントヴァのストロッツィ宮)があります。
現在はトスカーナ州の法律関係の事務所として使われています。
隣の9番地には、Museo dell'Opera del Duomo(ドゥオーモ付属美術館)があります。
ここにはドゥオーモ、ジョットの鐘楼、サン・ジョヴァンニ礼拝堂に関する装飾品などのオリジナルが収められています。
ミケランジェロのピエタ、ドナテッロの彫刻コレクション、天国の扉のオリジナルなども所有されています。
この美術館を過ぎると、おみやげものやが並びます。
この位置の建物は、クーポラのカーブに合わせて、建てられているのがわかります。
クーポラが終わり、身廊部分に差し掛かったところにクーポラへ上る入口があります。
季節がいい時は、ここを先頭に長い列が出来ています。
かつてバス停があったこの場所ですが、今は車を気にすることなく歩けます。
バス停の名残りか、この辺りには石のベンチが置いてあり、休憩をしたり、地図を広げたりする人が多く見られます。
正面ファザードが見える位置まで来ると、一気に人が多くなりにぎやかになります。
正面にはサン・ジョヴァンニ礼拝堂、右手にはマルテッリ通りが伸びます。
ドゥオーモの正面階段は、天気がいいと、スケッチをする学生、休憩する観光客、パニーノを食べる人などなど人でいっぱいです。
サン・ジョヴァンニ広場の名前の由来は、広場中央に建つサン・ジョヴァンニ洗礼堂です。
フィレンツェの守護聖人サン・ジョヴァンニにささげられた建物で、ベースとなる建物は4世紀か5世紀にはあったと言われています。
11世紀ごろに守護聖人サン・ジョヴァンニにささげられ、大聖堂となったこともありました。
ドゥオーモ建設のときに、一緒に工事が行われ、今の姿になっています。
何よりも有名なのは天国の扉です。
現在見られるのはレプリカですが、いつも人だかりです。
サン・ジョヴァンニ洗礼堂を挟んで見えるドゥオーモはこんな感じです。
ドゥオーモを正面に見て、右側にはカフェ、パブなどが並ぶのですが、その中で、ドゥオーモを正面に見ることが出来る1番地にカフェ・レストラン「B-Gallo(ビーガッロ)」があります。
冬でも暖房設備のあるテラス席が利用出来るので、天気がいい日はドゥオーモを眺めながら、一休みするのにぴったりです。
「B-Gallo」
住所 |
Piazza di Duomo,1/r
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TEL |
055-219251
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営業時間 |
7:00~翌2:00
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定休日 |
火曜
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ホームページ |
ドゥオーモの左にある鐘楼側に進みましょう。
こちら側から見るドゥオーモは、右側よりもあたたかい女性的な感じがするのは私だけでしょうか。
広場には、似顔絵、風景画を描く人たちがそれぞれに場所を取っています。
聖堂参事会館が向かい側にあるのですが、そこにはドゥオーモ建設の功労者アルノルフォとブルネッレスキの銅像があります。
ブルネッレスキの視線はしっかりとクーポラをとらえ、今も見守っているように思えます。
正面側から見ることの多いドゥオーモですが、改めていろいろな角度からのドゥオーモを見るのも表情が違って面白いです。
写真を撮るのが好きな方は、青い空の日はいつもの決まった角度からのドゥオーモではなく、違う角度のドゥオーモ写真に挑戦してみてください。
2010年11月 なお